繋がるご縁とお菓子の話 うけら餅

投稿日 : 2023年6月25日

先日訪ねてきてくれた、茶道部の卒業生2人のうち1人は、卒業する時にご挨拶の品を持ってきてくれた初めての生徒でした。その時、あまりにも感動したので、写真を撮っていたはず…。

iPhone内に写真が残っていて自分でも驚き…!5年前でした…。

その子は、現役部員だった当時、ふとしたきっかけで自宅の茶室に来たことがありました。そして、自分が幼い頃から抱えてきた思いや悩みを私に吐露してくれて。

茶室を訪ねて来る方の中には、狭い空間で対面して、人に話しにくくて心に溜まっていた気持ちをこぼしていく方が、時折いらっしゃいます。

私はうまく相槌を打つことすらできないけれど…大事なことを打ち明けてくださったことを有難く思いながら、耳を傾けます。

その子にも、特別なアドバイスをした訳でも、何か役立つことをしてあげられた訳でもありません。

でも、彼女なりに答えを出して進路が決まって、菓子折りを持って報告しに来てくれました。わざわざそんなことをしてくれる部員はいなかったので、とても感動しました。

その時、頂いた贈り物は【紀の国屋】の「うけら餅」。…なんと、コロナ禍で閉店してしまった武蔵村山の和菓子屋さんのお菓子でした。

「立川周辺の武蔵野台地にはいろいろな草花が四季を告げてくれます。万葉の昔より、おけらの花(多摩地方ではうけらの花)は可憐な可憐な小さい花を咲かせ東国の防人の歌の中にも多く詠まれています。また古来より厄除けの花として、京の大晦日のおけら祭でも知られています。お家の開運と厄除けを願うお菓子、二枚の薄焼きに求肥をはさんだ縁起の良いお菓子でございます。」と添えてある紙に書いてありました。

ほんのりと中が透けるような白い薄焼き。梅味は薄紅色、柚子味は淡い黄緑色の求肥を挟んであります。茶室でのお菓子としても、大き過ぎず美しくて、とてもいいお菓子でした。

「相国最中」という四角い大きな最中や、たっぷりとした「あわ大福」、「ゆすら」という白餡をホワイトチョココーティングしたお菓子…紀の国屋のお菓子にはお世話になっていたな…。

訪ねてきてくれて、当時を振り返ってみて…。改めてこの5年の変化に気付かされました。

彼女も、私も、お互いこれからも続いていく人生…。また会えたら嬉しいな。どんな風に変わっていくんだろう…。想像できない未来、ワクワクして待つことにします。