自宅でお茶事 備忘録 料理のこと

投稿日 : 2023年6月11日

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今回の茶事の1週間前、旦那さんは奈良や京都を訪れる機会に恵まれていました。というわけで今回は、旦那さんの土産話が話題の中心。奈良でのドライブ中の山あいの景色や、車窓から見える畑の色彩…。

そして7名のお客様は、都区内、湘南、横浜から、わざわざ山に囲まれた八王子までお越しくださる皆さん。

よし、今回は「山での時を忘れた寛ぎ」を隠れたテーマとしよう。

我が家では、よく野鳥の声を聞くことができす。そして今は、ウグイスやシジュウカラ、セキレイや山鳩は常に鳴いている季節。ちょうどこの数週間、初夏らしいホトトギスの声もよく聞こえるようになりました。

皆さんにも聞いてもらえるよう、窓の外にアウトドア用のベンチを並べて、上に濃紺の毛氈を敷きました。お客様同士でちょっと腰掛けて、おしゃべりでもしてもらえたらいいかなぁ。

また、今回は「菓子茶事」の趣向を取り入れました。菓子茶事はお菓子が主役。お菓子の前にお出しするお料理は、メインのもてなしではありません。

お膳は、通常通りの一汁一菜です。一文字(上手に盛り付けられませんが)の炊き立てご飯には、旦那さんが京都で求めてきたちりめん山椒をちょっぴり添えて。お汁は、夏が近づく頃ならではの赤味噌多めの仕立てです。

向付は、本当は初鰹と行きたいところでしたが、お客様には鰹が好みでは無い方がいらっしゃる模様…。天草産の鯛を昆布締めにして、小さなカップにホタルイカの山葵醤油漬けを添えてお出ししました。

お酒は秋田産の大吟醸。日本酒があまり得意ではない方でも、スイスイ進んでしまう優しい口当たりです。

煮物椀は枝豆と蟹を入れたしんじょう、結んだ三輪そうめん、八王子産のスティックブロッコリーを茹でて彩りに、輪の形に抜いた白瓜とさくら色のカイワレをあしらいに載せました。

そして、焼き物や和え物、強肴などのおかずが続きます。正午の茶事では一品ずつ鉢に盛り付けて、お客様の手回しで召し上がって頂くおかずですが、今回は、品数多めで一人ずつお皿に盛り合わせました。そしてこの盛り合わせだけは写真を撮っておいた!w

縁あって手に入った「山」の幸が沢山あり、海や川の幸も使いました。

  • 愛知産 稚鮎の甘露煮
  • 山形産 蕨のお浸し
  • 兵庫産の蛸とオクラの白和え
  • 町田産 西洋フキの湯葉巻き
  • 沖縄産 四角豆(うりずん)
  • 群馬産 ウドの芽 粒マスタードマヨ和え
  • 鮭の麹味噌焼き
  • 秋田産ウルイと鶏のササミの梅肉和え
  • 茄子とズッキーニの庭採り木の芽味噌田楽
  • 焼津産マグロのチャーシュー
  • 神戸の工房特製 味噌漬けチーズ柚子胡椒風味

下の二つは買ってきたものです…。

稚鮎の甘露煮は、6月に入ったばかりで、まだ店頭にはほとんど鮎を見かけず、諦めかけていたところにあった出会いでした。

ほんの5〜6センチしかない赤ちゃん鮎…。可愛くて料理するのが申し訳ない…。

ごめんねと言いながら、鍋で甘露煮に…。

ご飯のお代わりは、母が甘酢漬けにした新生姜をもらったので、それを針生姜にして混ぜました。籠に茗荷の葉っぱを重ねて敷いて、そこに盛り付けてお出ししました。

八寸は、空豆と烏賊の雲丹焼き。

皆さん、残さず平らげてくださり、感謝です。

そして炭手前で炭を風炉に入れ、お湯が沸くまでの間に、ちょっと休憩の中立(なかだち)。

正午の茶事では中立前に茶室内でお菓子を召し上がって頂くのだけれど、今回は趣向を変えて。

菓子茶事では、腰掛待合や別室で召し上がって頂くというのが、良くある形式だとか。

休憩で一息ついた頃、蓋付きの朱色のお椀をお客様銘々にお出ししました。中には、青々とした葉蘭を敷き、錦玉に沈めた豆類で川底を模した透明感のあるものと、解禁になったばかりの鮎の形のものを。どちらも旦那さんが京都で選んできたお菓子です。

そして再び手水を使って席入り、濃茶、続いて干菓子と薄茶を召し上がって頂きました。。。

気がつけば終わってしまった、というくらいに、あっという間に一日が過ぎていきました。

皆さん、楽しんでもらえたならいいのだけれど…。

そして終わったら片付けです。洗って清めた器類は、数日掛けて表裏をそれぞれ干して、しっかり乾かしてから、箱や戸棚に仕舞います。

干してある景色がまた圧巻です…www

片付けをしているうちに、お客様からお手紙が届いて、感想が聞けました。

終わってみれば、失敗も不足もあり、色々と気がかりは残るけれど、次に活かせたらいいな。またこれに懲りずにお客様が来てくださいますように!