長田弘さんのことば。

投稿日 : 2017年6月2日

暮らしを大事に。

詩人、長田弘さんの著作、「奇跡―ミラクル―」の「あとがき」が印象的でした。以下、引用。

 「奇跡」というのは、めったにない稀有な出来事というのとはちがうと思う。それは、存在していないものでさえじつはすべて存在しているのだという感じ方をうながすような、心の働きの端緒、いとぐちとなるもののことだと、わたしには思える。

 日々にごくありふれた、むしろささやかな光景のなかに、わたし(たち)にとっての、取り換えようのない人生の本質はひそんでいる。それが、物言わぬものらの声が、わたしにおしえてくれた「奇跡」の定義だ。

 たとえば、小さな微笑みは「奇跡」である。小さな微笑みが失われれば、世界はあたたかみを失うからだ。世界というものは、おそらくそのような仕方で、いつのときも一人一人にとって存在してきたし、存在しているし、存在してゆくだろうということを考える。

 「われわれは、では、何にたよればいいのか? われわれが真なるものと、虚なるものとを弁別するのに、感覚よりたしかなものがあるだろうか?」(ルクレティウス「物の本質について」)

朝食で囲んだ食卓も、たわいないおしゃべりも、玄関口の「いってらっしゃい!」も、
この日常の全部が「奇跡」で、それこそが「人生の本質」。

今日も一日、ていねいに過ごそう。