虫の弔い。

投稿日 : 2015年10月3日

建長寺、虫塚にて。

この夏、娘が鎌倉五山第一位の建長寺にて、3泊4日の合宿「寺子屋」に参加しました。
合宿最終夜、娘が出る発表会を見に、3人で出掛けた私たち。
夕刻の待ち時間、観光客も誰もいなくなった境内を散策していた時、偶然に、『虫塚』なるものを見つけました。
方丈などの建物を過ぎ、半蔵坊へと向かう道のりの左側。度々訪れている建長寺境内に、見知らぬ不思議な空間が広がっていて。

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竹林の奥が開かれており、鎌倉ならではの崖に面して白い金属の構造物が。

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近づいてみると、網目状の籠が螺旋を描くように積み重なって渦になっていて、中央へと導かれて行きます。

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中央には、赤御影石にゾウムシの角のある碑が。ん?ゾウムシ?解剖学者の養老孟司さんが収集している、あのゾウムシ…?
虫好きな息子は興味深く覗き込んでいます。その日は、なんだか不思議な気持ちになりながら、手を合わせて帰りました。

朝日新聞の夕刊連載の「人生の贈りもの〜わたしの半生」に、9月半ばより養老さんのインタビュー記事が載っており、そこで初めて知りました。この虫塚、養老さんが発案し、建築家の隈研吾さんが設計して作られたのだとか。今年の6月4日(虫の日)には法要が行われたとありました。

金属の構造物は、虫かごをイメージしているとのこと。土が吹き付けられており、コケが生えやすい環境となっているとも聞きました。

思えば、今年の夏も沢山の虫に会いました。今も、庭で秋の虫が鳴いています。
でも、虫除けやら蚊取り線香やら、時にはパチンッと…
虫の命を考える時間、生かされていることを改めて知る時間。

今日も、感謝して
生きていかなければ、です。