「鳥が教えてくれた空」を読む。

投稿日 : 2017年7月12日

感じるココロさえあれば。

米原万里さんの書評集での紹介があまりにも魅力的だったので、三宮麻由子さん「鳥が教えてくれた空」を読んでみました。米原万里さんのようにうまく表現できないけれども、感激をどこかに残しておきたいので、備忘録。

出版社による本の解説
読む人の五感をゆさぶるヒーリングエッセイ 幼くして光を失った著者が、たくさんの鳥たちとの出会いによって、「空」の存在をたしかなものに感じたところから、大自然と自分とのつながりを体感していく。研ぎ澄まされた感性の世界はいつしか飛躍的に広がり、季節の移ろい・地球の自転までもを感じるようになっていく…。昨日までと同じ景色が、まったく新しく見える一冊である。

4歳で全盲となった著者は、様々な努力をして夢を実現していくけれども、心の奥でいつも、立ちはだかる『目が見えないという現実』を感じていたのだとか。その『開かずの間』が開けるきっかけとなったのが、野鳥たちだと言います。鳥たちの声に変化があるということに気づいた時、そこから空模様を知り、夜明けの時間の移り変わりを知ることができると発見したのだそうです。その日からの自然との出会いは終わりなく、自然の中に組み込まれた自分を改めて実感することで、どこまでも感性が広がっていく。

著者の感性はとてもみずみずしくて、描写は鮮やかで色彩を感じさせてくれます。目が見えなくても、こんなにも風景を奥行き豊かに感じることができるなんて。

光はなくても、感じるココロさえあれば…
希望を与えてくれる一冊でした。